「我行精進 忍終不悔」
「我行精進 忍終不悔」
とは『大無量寿経』に説かれている阿弥陀仏（法蔵菩薩）のお言葉です。
すべての人間は罪悪深重で、大宇宙の諸仏の力では助けることができなかった、とお釈迦様は教えておられます。そのことを、蓮如上人は分かりやすく『御文章』に、次のように書いておられます。
「それ、十悪・五逆の罪人も、（乃至）空しく皆十方・三世の諸仏の悲願に洩れて、捨て果てられたる我等如きの凡夫なり」（『御文章』）
大宇宙の一切の仏方から『救い難き者』と見捨てられたのが我々である。
そんな十方諸仏からも見捨てられた私たちを、阿弥陀仏だけが「必ず絶対の幸福にしてみせる」と誓われ、その約束を果たすために「南無阿弥陀仏」の名号をつくられたのです。そのことを蓮如上人は、続けて次のように教えてくださっています。
「然れば、ここに弥陀如来と申すは、三世十方の諸仏の本師・本仏なれば、（乃至）弥陀にかぎりて、『われひとり助けん』という超世の大願を発して、われら一切衆生を平等に救わんと誓いたまいて、無上の誓願を発して、已に阿弥陀仏と成りましましけり」（『御文章』）
そんな者を阿弥陀如来という諸仏の本師本仏がただお一人、『私が助けよう』と立ち上がられ崇高な超世の誓いを掲げ、実現できる準備を完了されている。
この「南無阿弥陀仏」の名号を、阿弥陀仏（法蔵菩薩）がどれほどのご決意で成就なされたか、それが『大無量寿経』に説かれている
「仮令身止 諸苦毒中
我行精進 忍終不悔」
たとい身を、もろもろの苦毒の中におわるとも、
我が行は精進にして、忍びてついに悔いじ。
というお言葉です。
たとえどんな苦毒の中にあっても、すべての人を救い切る「南無阿弥陀仏」を成就するまでは決して精進（努力）してやめぬ。どんなに苦労しようと悔いはない。必ずやり遂げてみせるぞと阿弥陀仏は決意なされたのです。
かくて南無阿弥陀仏という妙薬は、十劫の昔に完成いたしました。しかし、薬はできても飲まねば病気は治りません。
阿弥陀仏のお約束は、「聞其名号、信心歓喜」とありますように、聞いて信ずる者を助けるというお約束ですから、名号は聞く一念で頂けるようにできているのです。
だから、聞くということが阿弥陀仏の救いに最も大切なことなのです。
ゆえに蓮如上人は、
「仏法は聴聞に極まる」（御一代記聞書）
仏法は聞く一つで救われる。
と教えられています。
私たちが、今日こそは、今日こそはと聞かずにおれなくなるのは、阿弥陀仏の「忍終不悔」の御念力に動かされてのことです。
阿弥陀仏より南無阿弥陀仏の名号を賜り、人間に生まれてよかったと喜べる身になるまで、「忍終不悔の聞法」でなければなりません。
