磯長(しなが)の夢告 2

19歳の親鸞聖人が、磯長の夢告で最も深刻に受けとめられたところは、何といっても
「おまえの命は、あと10年余りしかないだろう」
という予告であったことは、想像にかたくありません。

「その命が終わる時、おまえは速やかに浄らかなところへ入ってゆくであろう」
の夢告の意味も時の聖人にとっては、不可解な予告であったに違いありません。

「だからおまえは、今こそ本当の菩薩を心から信じなさい。深く信じなさい」
と言われても、本当の菩薩とはだれなのか、どこにましますのか、聖人の謎は深まる一方だったと思われます。

しかし、これらの夢告の謎が一度に解ける時がやってきました。
親鸞聖人は、阿弥陀仏に救われた時に一度死んだ、とおっしゃっています。同時に無碍の光明界にとび出させていただいた、ともおっしゃっています。

『愚禿鈔』の
「本願を信受するは前念命終なり、即得往生は後念即生なり」 とは、この体験を述べられたものです。

それが聖人29歳の体験でありましたから、まさに磯長の夢告から10年余りのできごとでありました。

「10年余りで死ぬ」
と言われたのは、迷いの心のことであったのです。

そして
「速やかに浄らかなところへ入ってゆく」
と言われたのは、一念で絶対の幸福に救い摂られるであろうことを、予告せられたものでありました。

しかも、その弥陀の救いを親鸞聖人に説き切ってくだされた本当の菩薩は、法然上人であったことも同時に明らかに知らされたことでありましょう。

 「磯長の夢告1」 「赤山明神での出会い」

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