平太郎、熊野権現で霊夢を見る

平太郎が熊野権現に参詣した話は『御伝鈔』下巻第5段に出ていますが、たいへん誤解されているようです。

事実は次のようなことが記されています。

親鸞聖人が関東から京都に帰られ、昔のことをしのばれると年月はまるで夢幻のように思われました。

やがて聖人は五条西洞院あたりがお気に召され、しばらく居を構えられました。

そこへぞくぞくとゆかりのある門徒同行たちが、聖人を慕って参集してきました。

その中に常陸国那荷西郡大部郷の平太郎という庶民がいました。

この人は聖人の教えを深く信じて、二心のない尊い人でありました。

ところがこのたび、主人の命令によって紀州の熊野権現(神)へ参詣しなければならなくなったので、神に参る是非を聖人にジカに尋ねるために、はるばる関東から京都へやってきたのでした。

その時、平太郎におっしゃった聖人のお言葉は、次のようなものでありました。

「末法の世である現在では、聖道自力の仏教では絶対に助かることはできない。我々の助かる道はただ1つ、阿弥陀仏に一向専念するよりほかはない。ゆえに、一向専念の義は往生の肝腑、自宗の骨目なり」

と断言なされ、しかもこれは全く経釈の金言であって、決して親鸞の私見でないことを懇々と説諭なされています。

そしてあくまでも、一向専念でなくてはならないことを諭されてから、

「しかしこのたびのことは、少しも自ら志したことではなく、逃れ難い主命であれば従うのもよかろう。しかし権現に対しては、決して忌みごと(神詣での作法や儀式)して奉仕してはならないぞ」

とおっしゃっています。

「垂迹において、内壊虚仮の身たりながら、あながちに賢善精進の威儀(忌みごとの参拝)を標すべからず」(御伝鈔)

とあるのは、このことであります。

そこで平太郎の決心は定まり熊野へ随行いたしました。

しかし平太郎は聖人の仰せに従って道中での作法は特別に潔斎とか、沐浴というような精進をすることもなく、一切の忌みごとはしなかったのです。

ところがその夜、平太郎の夢の中に熊野の権現(神)が衣冠をただし、俗人の姿をして証誠殿の扉をおし開いて現れて、

「平太郎、汝はなぜこの権現を軽んじて、一切忌みごとをせずに参詣したのか」

と叱ったところへ、忽爾として親鸞聖人が現れ、権現に向かっておっしゃいました。

「権現、この平太郎はこの親鸞の教えに従って、念仏する者であるぞ」

とおごそかに仰せられました。

すると権現は衣冠をただして敬屈の礼を表してさらに何も言わなかった………。

と見るうちに夢から覚めました。

平太郎、不思議なこともあるものだと思いながら、聖人の元に帰って、このことを詳しく申し上げたところ、聖人は、

「そうだそうだそのことだ」
と仰せになった。

これもまたたいへん不思議なことでありました。

以上がこの話の大略でありますが、これによっていかに聖人が常日頃、阿弥陀仏以外の諸仏や菩薩や諸神を排斥し、一心一向に弥陀一仏に向かえと厳しく教え続けておられたかということが、いよいよ判然とするではありませんか。

 「高熱で苦しまれる」 「善鸞義絶」

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