アメリカ東海岸の法輪
『なぜ生きる』の衝撃 米国に真実の仏法を
私は昨年の春、アメリカの大学で浄土真宗親鸞会の講師に会いました。
ちょうど博士論文を完成したころです。
10年前から日本語を勉強し、川端康成などの日本作家の本を読んだり、仏像や日本画を見てきました。
ですから、「無常」と「親鸞聖人」について聞いた時、深い親近感を覚えました。
そして、高森顕徹先生監修の『なぜ生きる』の日本語版と英語版を読ませていただいたのです。
何を求めても、何を手にしても真の満足を得られない、人間の有り様を見せつけられ、まさに自分の本当の姿がそこに描かれてあると、大変な衝撃を受けました。
講師の勧めで日本へ行き、高森先生のご法話に参詣できたのです。
長い間、求め続けてきた「人はなぜ生きるのか」の答えが親鸞聖人の教えにあったなんて。
大きな喜びを胸に、生涯忘れることのできない日々を日本で過ごすことができました。
今、アメリカ東海岸で親鸞聖人の教えを届けたいと、いろいろ挑戦しています。
浄土真宗を全く知らず、仏教といえば、「菜食」「座禅」「自然との調和を勧める美学」と思い込んでいる人がほとんどです。
でもその中から、本当の仏教を知りたいという人が、きっと増えてくると信じております。
昨年10月に、親鸞会の講師を招待して開催した仏教セミナーには、50人余りが参加し、親鸞聖人のみ教えに引き込まれていました。
目を輝かせ「深いものを感じる」
昨年秋、アメリカに行かせていただきました。仏教講演会には大学教授や学生が多く集まり、真剣に聞いていました。そこで素晴らしい出会いがありました。
ある30代の男性は、ボストンで生まれ育ち、日中はサラリーマン、夜と週末は音楽家としてバンドでドラムを演奏しています。
一昨年から『なぜ生きる』英語版を毎日のように拝読しているそうです。
1ページ読むごとに、「なぜ私のことがこんなに赤裸々に書かれているのだろう。まだまだ理解できない深いものを感じる」と思いながら、解説してくれる人を探していたと言います。
英語版を通して話をすると、まばたきもせず聞き入っていました。
『なぜ生きる』を監修された高森顕徹先生のことを伝えると、口数の少ない彼が目を輝かせ、「日本に行きたい」と言うのです。
親鸞会結成50周年には間に合いませんでしたが、「必ず日本で親鸞聖人の教えを聞かせていただきます」と繰り返していました 。
仏教に関心あっても「浄土真宗」を知らない
アメリカで「仏教」といえば、皆、チベット仏教を思い浮かべます。
「日本仏教」と聞けば、禅宗のことだと思い込んでいます。
書店には仏教コーナーが必ずありますが、そこに並んでいる大半は、チベット仏教の本です。浄土真宗の本は、ほとんど見当たりません。
仏教の集まりも、「チベット仏教」と「禅宗」ばかりで、浄土真宗の集いはありません。
仏教に関心を抱いている人はたくさんいるのに、浄土真宗の名前すら、知らない人ばかりです。
人生の真実を求めている人たちに、親鸞聖人のみ教えをお届けしていくことが急務だと感じます。