世界の親鸞学徒、東京に集う国技館で親鸞会・東京大会
平成2年 東京国技館
「私たちが東京に来たのは、国技館を見るためでもなければ、相撲を見るためでもありません。世界の光・親鸞聖人のみ教えを、正確に知らせて頂く、これ一つのためであります」
平成2年7月21、22日、東京・両国国技館にて開催された親鸞会・東京大会の冒頭、会長・高森顕徹先生はこう切り出された。
そして、「真実の信心」について、
「真心徹到するひとは
金剛心なりければ
三品の懺悔するひとと
ひとしと宗師はのたまえり」
の親鸞聖人のご和讃を引用され、
「真実の信心(他力の信心)には徹到ということがあります。言葉を換えれば、完成、卒業があるということです。それがないのは、邪偽の信心(自力の信心)です」と、高森先生は、真実の信心と邪偽の信心のちがいを鮮明に説かれた。
有名な、聖人34歳の時になされた信心同異の諍論(信心が同じになれるか、なれないかの論争)を通して、両者のちがいを具体的に浮き彫りにされる。
「法然上人は、智恵、学問、才能、経験、いずれをとっても私たちとはケタはずれのお方。勢至菩薩の化身と仰がれる方ではないか。
そんなお師匠様の信心と、我々の信心が、同じになれるはずがないではないか」
と強く主張する勢観房、聖信房、念仏房(法然上人の高弟たち)。それに対して聖人は、
「智恵や学問、才能や経験はその通りだが、信心だけは親鸞、まったく同じです」
と、真実の信心を明らかになされた争いが、信心同異の諍論である。
諍論の模様を再現されるところでは、数名の親鸞会会員も登壇し、場内は笑いにつつまれながらも、ご説法にひきつけられていく。
「信心に完成があるからこそ、一味平等の世界に出られるのです。そこまで、聞き抜いていただきたい」
と、しめくくられた。
いつもは相撲の熱戦にわく国技館だが、この日ばかりは、首都圏のみならず、台湾、アメリカ、ハワイ、ブラジル等海外からも参詣した多数の親鸞学徒で、立錐の余地なく埋め尽くされ、求法の熱気があふれた。