はじめに
2000畳の正本堂は、聞法(仏法を聞くこと)を最優先に設計されました。
その建物の設計、設備に関するページです。
設計には、以下の7つを目的としました。
(1)すべての参詣者が、同じ空間で聴聞できる
(2)大講堂のどこでも聞きやすい音響設備
(3)後方でも黒板の文字がよく分かる映像装置と根拠(仏教のお言葉)表示システム
(4)不快を与えない冷暖房設備
(5)十分なトイレの確保
(6)危険なくスムーズな人の流れ
(7)静寂で厳粛な雰囲気、真実の殿堂にふさわしい景観
上記の設計目的に従って、どのような設備を用意したか、これから皆さんに紹介いたしましょう。
音響編
〜(2)大講堂のどこでも聞きやすい音響設備(1/2)
「仏法は聴聞に極まる」と、親鸞聖人は教えられています。
親鸞聖人の教えで、最も大事な聴聞(仏法を聞くこと)を最優先に、正本堂は設計されています。
2000畳の大講堂で、一番の課題は音響設備でした。
大講堂は、天井までの高さが12m、奥行き100mあります。
これだけの大空間で、最適な音響を実現するのは実は大変困難です。
スピーカーの近くの人に聞きやすい音は、遠くの人には小さくて聞きづらく、遠くまで聞こえるようにすると、近くの人には大きすぎる。
どの場所でも聞きやすくするには、どうするか。正本堂設計の重要な課題でした。
天井にたくさん、スピーカーを設置するという案もありましたが、大講堂の天井が高すぎて、音量を上げなければならず、反響します。
また、真上から音声が聞こえてしまいます。"映像は前から、音声は上から"というように、別々の方向から情報が入ってくると、人間は集中できません。
そこで、登場したのが平面スピーカーです。
平面スピーカー
正本堂には、最新鋭技術の平面スピーカーが使われています。普通のスピーカーは、音が四方八方へ広がるのに対し、平面スピーカーは音が前だけに進み、減衰しにくい特徴があります。
例えば、20メートル離れると、普通、音量は4分の1に減りますが、平面スピーカーはほとんど音量が変わらない。小さな音でも、会場の後ろへそのまま伝わっていきます。
実際、神奈川県のある会場でコンサートに使ったところ、過去初めて、スピーカー前の観客から、「うるさい」との苦情がこなかったという実績があります。
平面スピーカー内部
平面スピーカーは、米国のホワイトハウスや、衆議院本会議場にも採用され、2000畳の正本堂にも、いち早く導入されました。
その上、平面スピーカーはハウリングがおきません。
非常に薄い(7mm)
果たして大講堂で平面スピーカーはどう聞こえるか。大きな期待の中、行われた音響試験では、思わぬ結果が起きていました。
プロジェクト2000畳