時空を超え、敬慕される親鸞聖人
「今日、英訳を通じて、初めて東洋の聖者、親鸞を知った。
もし、10年前に、こんな素晴らしい聖者が東洋にあったことを知ったなら、私はギリシャ語や、ラテン語の勉強もしなかった。日本語を学び、親鸞聖人の教えを聞いて世界じゅうに広めることを、生きがいにしたであろう」
これは20世紀最大の哲学者の1人として名高いドイツのマルチン・ハイデッガーの言葉といわれます。
約800年前、京都にお生まれになり、90歳まで長生きされた親鸞聖人は、今日、世界の光といわれています。それは親鸞聖人の教えていかれたことが人類にとって最も大切で、素晴らしいことだからです。
では、90年のご生涯、聖人はどんなことを教えていかれたのでしょう。
麦畑 北海道・美瑛町
親鸞聖人の教えのすべてが教行信証に
『教行信証』は浄土真宗の根本聖典です。
正式には『顕浄土真実教行証文類』といい、教巻、行巻、信巻、証巻、真仏土巻、化身土巻の6巻あります。親鸞聖人の教えのすべてはこの教行信証6巻におさまっているのです。
「親鸞の教行信証が私に与えた指導教化は、殆ど計り知られない程大きい」
「私は教行信証の宗教哲学を以て、西洋に匹儔を見出すこと困難なる如き深さをもつものと思惟せざるを得ないのである」(哲学者 田辺元)
「『教行信証』は思索と体験とが渾然として一体をなした稀有の書である。それはその根柢に深く抒情を湛えた芸術作品でさえある。実に親鸞のどの著述に接しても我々を先ず打つものはその抒情の不思議な魅力であり、そしてこれは彼の豊かな体験の深みから溢れ出たものにほかならない」(三木清)
古今東西、驚嘆の声は枚挙にいとまがありませんが、お釈迦さまの説かれた仏教を正確に伝えられた驚くべきその教えを冒頭の次のお言葉から聞かせていただきましょう。