「報恩講」って何かしら?
朋美「ねえ、法ちゃん、秋にはホウオンコウっていう大事な行事があるって聞いたんだけど、それ何?」
法子「報恩講ね。恩に報いる集まりということで、こういう字を書くのよ」
朋美「なるほど、こんな字を書くのね。
恩に報いるって、これはどういう恩なのかしら?」
法子「いい質問!
じゃあ、まず“恩”という漢字の意味から話しましょうか」
朋美「え、“恩”の字に意味があるの?」
法子「そうよ。“恩”という字を上の部分と下の部分とに分けてみて」
朋美「えーっと、『因』と『心』になるわね」
法子「そうそう、これはね『原“因”を知る“心”』ということで、自分が恵まれている原因をよく考えて、正しく知る心ということなのよ」
朋美「なるほど~漢字ってよくできているのね」
法子「ふふっ、ほんとそうねー。
それでね、今、自分が恵まれている原因を知る心が『恩』という言葉の意味だけど、逆にいうと、今を不足に思ったり、不満に思っていたら、恩の心は出てくるかしら?」
朋美「それは出てこないわよね、苦しかったりつらかったりしたら、のろう心しか出てこないわ」
法子「そうよね。じゃあ今は物質的には豊かになったけど、心から喜んでいる人は一体どれだけあるかしら」
朋美「この前教えてもらったけど、日本で毎年3万人以上の人が自殺しているんでしょう。特に今年はひどいって。今を心から喜んでいる人って、とても少ないのかもしれない……」
法子「世界では年間100万人の人が自殺しているそうよ。“生きるべきか死ぬべきか”の問題は、昔から変わってないのよね」
朋美「自ら死を選ぶ人は“恩”を感じるどころじゃないということね」
法子「悲しいけど、ほとんどの人がそうかもしれない。だからこそ、生まれてきた意味を知ることが大切なのよね」
朋美「そうね。生まれてきてよかったーっ!!という心になれたら、ものすごく強い“恩”を感じられるんじゃないかしら?」
法子「そうなのよ!さっすが朋ちゃん、理解速いわねー」
朋美「え、ヤダ。それほどでもないわよ」
法子「その、生まれてきた目的、生命の歓喜を教えてくだされたのが親鸞聖人なの」
朋美「そうなんですってねー。正直意外だったわ。どちらかというと、こういうことって西洋哲学に教えられている感じがしたから」
法子「哲学者もお手上げの問題に、ズバリ答えられたからこそ親鸞聖人は“世界の光”といわれているのよ」
朋美「なるほどー。ということは、報恩講というのは、親鸞聖人のご恩に報いる集まりってことね」
法子「そう、そのとおり!」
朋美「じゃあ、そのご恩というのは、生まれてきた目的を教えてくだされたご恩なのね」
法子「そう!そうなの!朋ちゃん、ホント頭の回転速いよねー」
朋美「いえいえ、それほどでも……(エヘヘ)。
それで、報恩講では何をするのかしら?」
法子「そう、それがいちばん知りたいことよね。恩に報いるにはね、その人が喜ばれることをするのが大事なの」
朋美「確かにそうよね」
法子「親鸞聖人はね、仏教聞くこと一つ、生涯勧めていかれた方なの。人生の目的は仏教に説かれているからね」
朋美「あ、たしか『仏法は聴聞に極まる』って聞いたことあるわ」
法子「そう、だから報恩講には、仏教を聞かせていただくの」
朋美「なるほど、よく分かったわ。法ちゃん、ありがとう。恥ずかしいけど私まだ正座が苦手なの。だから今から正座の練習もしておくね。形も心も正してお聞きしたいから」
法子「前向きねー朋ちゃん、私も頑張るわ!」
朋美「報恩講に向けて一緒に頑張りましょう♥」