浄土真宗親鸞会「法楽寄席」

演目「行き先違い」

 世の中には随分慌て者がいるものでございまして、ちょっと聞いただけで、「ああ分かった!」と早合点する。そういう人は決まって思い込みも激しいものですから、なかなか間違いに気づかぬようでございます。
 さて、人はいいのですが少しばかり頭が足りず、早合点でいつも失敗しております長屋の熊さんが、一ぺん大阪に行ってみたいと、東京から一人旅に出掛けてまいりました。

「こんちは、ご隠居さん、行ってまいりました」

隠居「おお熊さんか、随分早かったね。で、どうだった?大阪は」

「あーけっこうな所でございました」

隠居「それはよかった。あちらの人たちは言葉遣いも違ったろう。大阪弁と言ってな」

法楽寄席「そう、随分違いやした。エビフライのことを皆、エビフリャーと」

隠居「ええっ、エビフリャー?」

「ここのは、たっきゃーだけあって、どえりゃあ『もり』がええし、でもってまあまあうみゃーがね。なんて言ってましたよ」

隠居「えっ、おまえさん、今なんて言ったんだ」

「ええ、だからね、あっしも分からねえから、言ってやったんですよ。みゃーとか、にゃーとか、ネコじゃねえんだ、人間様に分かるよう言っておくんなさいよって」

隠居「よしなさいよ。すぐけんか腰になるんだから。その土地、その土地で言葉というのは違うものだ。ところで大阪城があったろう。太閤秀吉の建てた天下の城だ」

「ええ、ありましたとも。おっきな城でしたよ。それでいちばん上の屋根にはピッカピカのものがありましてね」

隠居「ピッカピカ?どうもおかしいな。ひょっとして熊さん、そりゃ鯱鉾じゃあ?」

「ご隠居よくご存じで。金の鯱鉾って言ってました」

隠居「道理でおかしいと思いましたよ。熊さん、どうやらおまえさんの行ってきた所は、大阪でなくて、途中にある名古屋のようだ。金の鯱鉾はおまえさん、大阪城ではなくて名古屋城じゃよ」

法楽寄席「ええっ、そんな馬鹿な。ご隠居さん言ってたじゃないですか。大阪は、ここを西へずっと行った所にあって、そこへ行くと大変なにぎわいで、言葉遣いは違うし、大きなお城もあって、熱狂的な野球ファンがいるって。そのとおりでしたよ」

隠居「おまえは少し早合点するところがある。確かに私はそう言った。だがおまえは、それで大阪が分かったつもりだったのか?大体こんな所だろうと思って行くから、名古屋を大阪と間違えたりするのじゃよ」

「そんなあ、ご隠居も人が悪いや」

隠居「悪かないよ。おまえさんが勝手に勘違いするからだ。でも熊さんや、大事なのはここじゃ。旅先を間違えるくらいならまだいいが、聞法の道は絶対にそんなことがあってはならんのじゃよ」

「聞法の道ですか?」

隠居「そうじゃ。目的は無碍の一道(*)に出ること。だがな、それには無碍の一道とはどんな世界か、よーく聞かないといけない。そうしないと名古屋と大阪を間違えるように、とんでもないところで救われた、救われたと勘違いするからなあ」

「そんな慌て者がいるんですか?」

隠居「ああ、いるとも。おまえさんだって人のこと言えないじゃないか」

「えへへへ。ところでその無碍の一道は、だれから聞けばいいんで?」

隠居「それは親鸞さまからじゃよ。親鸞さまのお言葉の正しい意味を分かりやすく、丁寧に教えてくれる人から、よーく聞かせていただくことだ。くれぐれも間違えてくれるなよ」

「へい、今度こそ間違えません」

 

※無碍の一道……一切のさわりが往生のさまたげにならぬ絶対の幸福のこと。歎異抄7章には「念仏者は無碍の一道なり」とある。

 


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