人はいいのですが少しばかり頭が足りず、早合点でいつも失敗しております長屋の熊さんが、一ぺん大阪に行ってみたいと、東京から一人旅に出掛けてまいりました。
「どんな体験だろうと、三世十方を貫く、お聖教のお言葉と合致しなければ、二束三文だって。論より証拠の前に、証拠より論」
江戸っ子の威勢のいいのは結構ですが、勘違いからすぐカッとなる傍迷惑な方も随分あったようでございます。
「お釈迦さまの説かれた六つの善の筆頭が布施、施しです。施せば施すほど善い結果、旦那の幸せになりますよ」
「今風邪で死ぬのを逃れても、いずれまた死ぬ羽目になる。また慌てふためくぞ。だから急ぎ解決すべきは、後生真っ暗なその心のほうなのじゃ」
「私はね、生きるのがもう嫌んなったの。それでも頑張れ?頑張れって一体何を頑張れっていうのさ?」