「論より証拠」の落とし穴 教えで真相を見極める (1/3)
「論より証拠」
この言葉に、私たちはすこぶる弱い。インチキ宗教でも、
「医者で治らなかった病気が神様の力で治ったのが証拠ではないか」
と聞くと、簡単に信じてしまう。
戦後、新興宗教が爆発的に広まったのも、人間のこの心理をうまく利用したためであった。
だが、この手の「病気治し」はすべて、暗示や催眠現象で説明できることである。
昔から「病は気から」といって、心理作用は肉体に大きな影響を与えることは広く一般に知られている。
今日の医学でも、心が一切の病気と密接な関係があることはすでに証明済みだ。
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セリエのストレス学説などは、心の転換によって多くの病気が自癒する過程をホルモン学によっていとも見事に説明されています。
セリエ教授は怒りや悲しみや心配などのイヤな感情が、頭脳の神経を刺激し続けると脳下垂体からACTHというホルモンが出て、それが副腎皮質を刺激してコーチゾンが分泌されます。これが全身に流れると成長ホルモンのSTHに反作用を起こして、自衛作用を失わせるといわれています。
(略)
古人がいった病気は病と気からであることが証明せられたわけです。だから米国のジョン・A・シンドラー博士は「よい感情は最良の薬である」、また「快い感情は奇跡的に作用する」とも言っています。
(『こんなことが知りたい2』高森顕徹先生著)
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こういう声は、親鸞会館でも頻繁に見聞する。
「仏法を聞くようになったら、体調がよくなった」
「二千畳に来て、満堂の法友の活気に触れたら、つえなしでも歩けるようになった」
など。
しかし、真実の仏教は、後生の一大事を解決して永遠の生命を体得し、絶対の幸福、無碍の一道に導くものである。病気治しを売り物にするあまたの宗教とは、およそ次元が違うことをよく知っておかなければならない。