【親鸞聖人750回忌 講演】
弥陀より賜る二種の廻向
「寄せかけ寄せかけ」大悲のままに (3/6)
娑婆往来の無限の救済
そして臨終に「いよいよ極楽浄土へ往く」と仰っています。
では皆さん、聖人は今、どこにおられると思いますか。あれだけご苦労なされたのだから極楽浄土で八功徳水の温泉につかって、百味の飲食を食べて、のんびり娑婆の疲れを癒やされていられると思いますか?
とんでもない。親鸞聖人は、極楽にはおられません。お亡くなりになって750年間、聖人は1日も1分も極楽浄土におられなかったのです。
「和歌の浦曲の片男浪の、寄せかけ寄せかけ帰らんに同じ」
寄せては返す波のように、すぐに戻ってくる。この娑婆に苦しみ悩む人がいる限り、極楽にじっとしてはおれない、無窮の波動のように、親鸞は娑婆と浄土を無限に往復し、衆生救済の活動をせずにはおれないのだ、と仰っています。
聖人は、弥陀の浄土を無量光明土とも言われ、弥陀の救いにあえば、未来が限りなく明るい無量光明土になりますから、現在から、人間に生まれてよかったという大満足の身、絶対の幸福になれると教えられています。
だから一人残らず絶対の幸福に救われるまで、親鸞、とても休んでなどおれない、と仰せなのです。
「一人居て喜ばは二人と思うべし、二人居て喜ばは三人と思うべし、その一人は親鸞なり」
喜んでいる時に、そばにいると仰るのですから、苦しんでいる時はなおさらです。うれしい時も、悲しい時も、困り果てている時も、私たちに分からないだけで、親鸞聖人がいつもそばにいらっしゃるのです。
>>「助けたい心は全くない」?