光に向かう親鸞会の青年たち5(1/2)
生きてきた中で一番幸せ?
兵庫県 佐久間洋一(仮名)
「今まで生きてきた中で一番幸せです」あのとき私はそう思った。10年半前高校3年の秋のことだった。
応援していたプロ野球チームが日本一になった。ただ、それだけのことである。だが、軽い冗談でも大げさな形容詞でもなく、心の底から本気でそう思っていた。
毎年、優勝チームのファンが「生きていてよかった」といったコメントをしているのをよく見かけるが、当時の私の気持ちと全く同じだ。そのチームを「命」としているファンにとって、優勝は「人生の目的」とさえ思っているのだ。
しかし、そんな幸せは続かなかった。ほとんどの選手がユニフォームを脱ぎ、スターは海を渡り、名監督はすでにこの世を去ってしまった。日本一のチームは、二度と甦ることはないのである。
あの日に帰りたいと思っても、もう戻れない。あの頃は楽しかったけど、今振り返ってみると、ささやかな甘い思い出のひとつに過ぎない。とても「人生の目的」とは言えないものである。
仕事帰りの街には、今日もビールを片手にナイター観戦の人たち。私も真実を知らなければ、間違いなくそのような日々の繰り返しに迷い込んでいただろう。
そう考えると親鸞会で仏法を聞かせていただいた喜びは尽きない。そして思う、伝えなければと。