山で暮らしても
東 幸徳さん(仮名)
約10年前に、森林インストラクターの免許を取得し、それからというもの、土日は、野や山で自然観察指導を通し、多くの人や、自然と過ごしてきました。
本業のサラリーマンにはない充実した日々でありました。
そんな5年前、息子は県外の大学に入学し、また、妻は、長く勤めた仕事を辞めると同時に機織の勉強がしたいと、2人とも出て行き、娘と2人暮らしとなりました。
暫くして、息子が親鸞会というところで、仏教を聞いていると妻から便りがあり、妻は心配で息子の勧めるまま、様子を見に、親鸞会館へ来たようでした。
無関心な私の方は、将来、山で暮らす計画を、地元の方の善意により、着々と進めておりました。
そのうち、いつしか妻は、毎月親鸞会館へ参詣するようになっていました。
4年前のある日、帰省した息子の勧めにより、初めて地元の講演会に参詣し、そこで聞かせて頂いた「三世因果の道理」の高森先生の説法は、全てが自因自果、また、自分が生まれたのは、両親を縁として、生まれ難い人間に生まれてきた。など、とても衝撃的でした。
仕事上で、都合が悪くなれば、他人のせいにする。また、子供の頃、母親が亡くなり、父親が再婚したこともあり、親の恩すら感じていない自分を恥ずかしいばかりでした。
息子から、妻へ、そして娘に、親鸞聖人の教えが伝わり、そして私が最後に、親鸞会会員になり、今では、家族4人揃って光に向む幸せ者です。
今思えば、山に住めば、気ぜわしい現実から逃れ、満足の行く生き方が出来ると夢見ていましたが、結局「有無同然」であり、やりきれない空しさに、もっと悩んでいたに違いありません。
今は、生きる意味を知らされ、本当に幸せです。