幸せロボット 作りたい
村下太一 さん
高校教師の父と優しい母の元、生を受けました。
小さいころから物づくりが大好きだった私は、中学卒業後、工業高校へ進学し、3年間「アイデアロボット」の製作に打ち込みました。
そのかいあって高校3年の時、「全日本ロボット相撲大会」で東海地区の予選を勝ち抜いて、東京の両国国技館での全国大会に進むことができたのです。
工業高校生に加え、大手自動車メーカーのエンジニアや、ベンチャー企業の社長なども参加していました。
総数3000台のロボットの中、なんと、それらを打ち破って優勝したのです。
これを縁に大学に入学することができました。
もっと強いロボットを作って同じ大会で連覇してやろうと思っていたところ、先輩から親鸞聖人のみ教えを聞かせていただいたのです。
「人生の目的は何だと思う?」と尋ねられた時、「自分にはロボット作りという夢があります」と答えました。
すると、「村下君は、ロボットを作りたいのではなくて、幸せになりたいんでしょ」と言われ、「あっそういえば確かにそうだ」と驚きました。
さらに、「いつか必ず崩れる幸せと、永遠に色あせない幸せとがあるけれど、どちらを求めているんだい?」と聞かれ、「崩れない幸せです!」と、思わず叫んでいました。
仏教のお話は、一つ一つが納得できるもので、それから間もなく高森顕徹先生の講演会に参加することができたのです。
素晴らしいロボットで「幸せ」になれるのか?
それまでの私には、ロボット作りに夢中になっていても、いつもこんな思いがありました。
「素晴らしいロボットを作ったら、確かに生活は便利になるだろう。しかし、それで人間は幸せになれるのだろうか。もしロボットが、人間の代わりに仕事をすべてできるようになったら、人間は一体、何をすればいいのだろう?」
その疑問は、人として生まれた目的を明らかにされている親鸞聖人の教えによって氷解していきました。
なぜ母は「工業高校へ行ったら?」と、背中を押してくれたのでしょう。
なぜロボット全国大会で優勝し、大学へ進むことができたのでしょう。
わが身のことながら、なんとドラマチックな人生かと思わずにおれません。
仏教を学びながら、素晴らしい法友に恵まれ、幸せな大学生活を送ることができました。
親鸞会館に、ロボット活躍の場を!
卒業後は産業用ロボットの会社に就職、エンジニアとして働いています。
人間の労働を、ロボットが代わって行うことで、人間は人間でなければできないことに時間を費やすことができます。
ロボット作りが、本当に意味ある仕事に思えました。
親鸞会館や同朋の里でも、ロボットの活躍する場があると思います。
先日、百味館で法友と、「自動手洗いうがいロボット」があればいいねと話していました。
手と顔を入れてボタンを押すと、自動で手洗い、うがい、乾燥まで30秒ほどでできてしまうというものです。
二千畳の各トイレに完備されれば、インフルエンザがうつる心配も少なくなるのでは?と思うとワクワクします。
不況ぶっ飛ばす 元気印☆
昨年からの不景気で、村下さんの会社でも売り上げが減っているという。
経費節減のため廊下の電気は消え、工場からは人が少なくなっていく。
「『会社全体が暗い雰囲気に包まれてる』と言う人もありますが、人生に逆境は付きものです。そんな時だからこそ、いつも以上に明るい挨拶をするようにしています」
上司から指示されたことは喜んで受け、愚痴を言わないことをモットーにしている。
「特に心がけているのは、感謝の気持ちを表すことですね。状況が厳しくても、皆で励まし合いながら元気に働いています。生きる意味を知らされている幸せ者ですから、仕事も一切手抜きをせず、職場で光る存在になりたいです」
(プライバシー保護のため、個人名は仮名にしてあります)