仏法の花が咲くヘアサロン
佐藤光司 さん
苦難続きの人生だった。
26歳で結婚、間もなく生まれた長男には先天性の障害があった。
落ち込む自分を奮い立たせるように、理容店を借金してまでオープンしたが、経営はうまくいかず、返済に苦しめられた。
仕事のパートナーでもあり、頼りとしていた妻も病で倒れる。
どうして生きていけばいいか分からなくなった。
佐藤さんの店の向かいには、親鸞会会員が集う場所があった。
やがて、親鸞会の会員や講師が、店の常連客となる。
「皆さん明るく礼儀正しく、何より目の輝きが、ほかの人と違うなと感じていました」
散髪中、仏教の話も聞かされたが、最初は生活の苦しみに追われ、耳をふさいでいたという。
平成16年、ある人が、高森顕徹先生・監修の『なぜ生きる』を手渡してきた。
タイトルに心をつかまれ、思わず開く。親鸞聖人が人生を〝難度海〟と教えられていることが、自分とピタリ当てはまった。
「いちばんの衝撃は、そんな苦しみの連続の人生で、生きている時に阿弥陀仏に救われると親鸞聖人が断言されていることでした」
地元のご法話にも参詣し、店に来る講師や会員に、仏教のことをいろいろ尋ねるようになった。
そして今年2月、親鸞学徒となる。
「仏縁を念じ、法施をしてくださった講師、会員の皆さんに今は感謝の気持ちでいっぱいです。これまでの苦労も、このご縁に遇うための阿弥陀如来のご方便だったと感じています」
(プライバシー保護のため、個人名は仮名にしてあります)