住職の意外な言葉「御名号こそ浄土真宗の正しい御本尊」
島本さんは昨年10月、お仏壇に御名号本尊をお迎えした。
その直後、母親の七回忌法要に来た住職の、意外な言葉に息をのむ。
「皆さん、島本さんのお仏壇を見てください。南無阿弥陀仏の御名号がご安置されています。これこそ浄土真宗の正しい御本尊です。
私の門徒では初めてです。
蓮如上人のお言葉には、『当流には木像よりは絵像、絵像よりは名号というなり』と記されております。最高法規の宗制で、御本尊は名号と認めることになりました」
集まっていた親戚も、初めて聞く話に驚き、顔を見合わせていた。
自宅の仏壇が絵像であることに悩み始めたのは、親鸞会会員になってしばらくたってからだった。
「親鸞聖人は『正信偈』に『本願の名号は正定の業なり』と教えておられるし、蓮如上人も『当流には、木像よりは絵像、絵像よりは名号というなり』と明言されているから、やっぱり家は教えに反しているなあと思ったんです」
勤行のたびに、“これでいいのか、これでいいのか”と胸騒ぎを覚え、「名号、南無阿弥陀仏、名号、南無阿弥陀仏」とつぶやく日々が続く。
だが、絵像は先祖の求めたもの。教えは分かるが、自分の代で下ろしていいのか、なかなか決心がつかなかった。
そんな島本さんに勇気を与えたのが、福井の親鸞会会員の話だった。
「御本尊を親鸞聖人の教えのとおりにされたドラマを聞き、とても感動し圧倒されたのです」
その後、続々と御名号本尊をお迎えした人が紹介された。
「それを知るたび、胸が引き裂かれるようで、何とも言えない気持ちになりました」
さらに9月、身近な法友の決心に心を動かされる。
「高森光晴布教局長の研修会で、同じ市に住む先輩が、『正御本尊をお迎えしました』と発表するのを聞いたんです」
家に帰っても落ち着かず、その日はなかなか寝つけない。夜が明けるのを待って翌朝7時に親鸞会の講師に電話をかけた。何事かと驚く講師に、「ぜひお仏壇用の正御本尊をお願いします」。
母の七回忌の約2週間前、正御本尊をご安置できた。
「法事のあと住職からも、『素晴らしいご縁になりましたね』と言われたんですよ。
今は晴れ晴れとした気持ちで、朝夕の勤行をさせていただいています」
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