ナターシャの「ロシアより愛をこめて」第2回
THE WORLD MEETS BUDDHISM
ロシア東部の町に生まれる。
ウラジオストクの海洋国立大学・経済学部卒業。
在学中に、富山大学に留学し、
親鸞聖人のみ教えと出遇う。富山市在住。
富山に住んで、ラーメン初体験。
そして参加した講演会で……?
第2回
日本語の勉強を続けるうちに、「もう一回、日本に行きたい」と思うようになりました。しかし、適した留学制度がありません。あきらめかけていた時、新しい留学プログラムが突然、飛び込んできたのです。
私が通う大学と縁のある富山大学の教授からの提案でした。もちろん、すぐに申し込みました。学科試験は免除で、その教授との電話インタビューで、富山行きが決まりました。
平成16年9月、ウラジオストク発の直行便に乗り込み、2時間半もすれば、もう富山空港。ロシアといっても、案外近いんですよ。
六畳一間のアパートに落ち着き、2、3日後には授業も開始、新生活が慌ただしく始まりました。
富山は食事もおいしいんです。ある日、携帯の着信音が鳴りました。ロシアで知り合った、富山出身の女性からでした。
「ラーメン、食べに行かない?」
「いいですね、ぜひ食べたい!」
初めて食べる濃い口醤油味のラーメンは、とてもおいしく、日本の好感度がまたグーンと上がりました。一方、お寿司の初挑戦は、ちょっと……。わさびで気分が悪くなってしまったのです。
来日一カ月が過ぎたころ、ついに出遇いはやってきました。富山市内で声をかけられたのです。ロシアなら、大概はナンパです。"この人も……?? でも、日本人は皆いい人だし、今は友達を増やしたいな"と思って気軽に返事をすると、彼は意外なことを言いました。
「なぜ生きる、考えたことありますか?」
「あなたはどうなんですか?」
「はい、もちろん考えていますよ。あなたはどう思いますか?」
「人を幸せにするためですかね」
チラシをもらって別れましたが、何だか気になって、4日後の講演会に参加しました。周りは日本人ばかりでしたが、ここは日本なんだから当然です。そんなことよりも、初めて聞く『父母恩重経』のお話にすごい感銘を受けたのです。でも、このオシャカサマって一体、だれなんだろ……?
ナターシャのロシアより愛を込めて 第1回
ナターシャのロシアより愛を込めて 第2回
ナターシャのロシアより愛を込めて 第3回
ナターシャのロシアより愛を込めて 第4回
ナターシャのロシアより愛を込めて 最終回