因果の道理を信じて、苦境を越えた
瀬川佳枝さん(仮名)
数年前に一枚のチラシで、親鸞会とご縁を頂きました。
その2年前まで、私は人生の荒波に翻弄され、自殺を考えたこともありました。
主人は運送業を起こし、従業員140人を抱える事業は順調に軌道に乗っておりました。
ところが、病気で主人が亡くなり、間もなくバブルがはじけ、株は下がり、会社経営をする者には大変な時代に直面しておりました。
運送業という男社会の仕事であり、それまで経営にはタッチしたことのなかった私は、長い間、主人の片腕として共に働いてきた役員を信じ、頼りきって、一切を任せておりました。
その役員は、運送業に付きものの事故の処理やさまざまなトラブルにも敏速に対応し、弁は立ち、行動力はあり、取引先や銀行からも厚い信頼を得ておりました。
ところが、ある年の暮れ、従業員にボーナスを支給する日のことでした。銀行に行ったその役員が、どれだけ待っても帰ってこなかったのです。手形債権、会社のお金をほとんど持ち逃げし、突然姿をくらましたのでした。
何の前触れもなく、降って湧いたような出来事でした。みんなで必死に探しましたが、連絡はとれず、無我夢中で、ボーナスの支給を数日待ってもらい、年末の支払いを頭を下げ先送りにしてもらい、何とか切り抜けることが出来ました。
その時に「あなたのご主人の信用ですよ」と口々に言われ、感謝せずにおれませんでした。
帳簿を確認すれば、十数億の借金が見つかりました。
私はしばらくの間、ただ呆然とし、食事をとることも、考えることも、人と話すことも出来なくなりました。
娘が3人いますが、娘たちは私が自殺するのではないかと心配していたそうです。
信頼しきっていた人に裏切られ、出口の見えない真暗なトンネルの中を彷徨っているようでした。
そんな時に、取引先の人が良く話を聞いてくださり、ふと気が付けば勧められるまま新興宗教のGLAという所にいました。
しかしいくら話を聞いても心は晴れません。空しい心の明かりにはならなかったのです。
真の心のよりどころを求めていた時、一枚の新聞折り込みに目が止まりました。
親鸞会主催の講演会の案内でした。
何かにひかれるように、講演会の会場に行きました。そこからなんとも懐かしい恩徳讃の音楽が流れていました。その調べを聞くうちに、心が落ち着き、懐かしい母に会えたような気持ちになりました。
騙した相手を恨み、憎しみ、愚痴の塊であった私が、親鸞会で仏法を続けて聞いていくうちに変わりました。
蒔かぬ種は生えませんが、蒔いた種は必ず生える、という因果の道理を聞かされ、相手ばかりが悪いのではない、騙される自分も悪かった、馬鹿だったと思えるようになり、自己を反省する心から、やがて「ありがとう」の言葉が出るようになりました。
苦境を乗り越え、今は、長女、次女の夫婦と三女が力を合わせ、頑張ってくれています。
今年の決算では、十数億あった借金が半分にまでなり、因果の道理を身をもって知らされました。
娘たちも親鸞会での講演会に足を運ぶようになりました。
「力をあわせ努力しよう」を合言葉に、一層、力を尽くしてくれています。
我が身に起こった出来事は、みな因果の道理を知らせ、人生の目的を教えるための仏さまのご方便なのだと思います。