届けたい真実
鹿児島県 Y(高校生・男性)
お母さん、すみれ(仮名)、聞いてほしいことがあります。求むべき永遠の幸福は、親鸞聖人のみ教えにあるんだよ──。
しかし、僕の声は届かない。
物心ついたころから仏法を聞かせていただける幸せな家庭に育ちましたが、ある事情から母や妹と、別々に暮らすことになったのです。
お母さんに会えない、いつもけんかばかりしていた妹にも、もう会えない。会者定離と聞いていたことが、現実になってしまいました。
周りの人には、「お母さんも妹も、いなくたって平気」と元気にふるまいますが、いつも心は叫んでいました。会いたい。お母さん、すみれ。僕は本当は会いたいんだ、と。
阿弥陀さま、親鸞聖人さま、どうしたらいいのでしょう?なぜ生まれてきたのでしょう。お母さん、僕は人間に生まれてよかったのですか?道行く家族の笑い声は、余計に僕を悩ませます。こんな思いをしてまでなぜ生きるのか、と。生きる望みもなく、だくだくと過ごす日々。これではいけないと気を取り直しても、気力が出てこない。
なぜ生きる
高校受験を迎えてなお、心は暗いままでした。祖母と父が心配し、今度元気のいい先生が来たから、おまえも少し元気をもらいなさいと、家庭法話のあと、相談に行くよう勧められました。
その時、私の家に法話に来られた親鸞会の講師は言われました。
「なぜ生きるかを知らずに100年生きるよりも、人生の目的を知って一日生きるほうがはるかに尊いんだよ」
お釈迦様のお言葉です。
ああそうであった。仏法を聞かせていただきながら、大切なことを全く分かっていなかった。
家族が幸せといっても、やっぱり続かない幸せであった。僕や家族が求めているのは、そんな崩れるような幸せではない。
僕は決意しました。将来は、仏法のお役に立てる道に進もうと。僕は生きる意味を知らされた幸福者です。真実に生かされたいのです。
今、心から言いたい。お父さん、おばあちゃん、仏法を教えてくれて本当にありがとう。そしてお母さん、すみれ。今は届きませんが、必ず伝えに行くからね。ともに弥陀の本願を聞き開き、浄土で再会できるように。