父母の恩 重きこと 天の極まり無きが如し
93歳 この父とともに幸せな道を
熊本県 近見芳子
親鸞学徒追悼法要で、『父母恩重経』のお話を聞かせていただき、ありがとうございました。このたびは、いつもと違った気持ちでした。
3日前に93歳の父が重い病名を告げられたのです。
私たち娘5人は驚きました。それぞれ今、何をなすべきか考え、動きだしました。
私は幸いにも、高森先生のご法話ビデオをお借りしております。1回でも多く聞かせたいと存じます。宣告を受けた次の日、父の元へ向かいました。
父は私を見るといつも、高森顕徹先生のご法話を聞かせていただけると思うのです。
「1時間くらいなら」と言いましたが、とてもきつそうでしたので、白骨の章についてのご講演を20分ほど聞かせました。
「高森先生と同じ時代に生まれてよかった」と涙を流していました。
親鸞会館に参詣しても、父のことがずっと頭から離れませんでした。
大きく重い、親の恩が胸に刺さり、93年の父の苦労を少しずつ思い起こし、5人の子供のために命を擦り減らしてきたことを、今一気に知らされた気がします。
先生が、親の大恩十種を一つ一つお話しくださり、胸がいっぱいになりました。
60年も育て、仏法を聞く身にしていただき、どれだけ感謝しても済みません。
親子ともに仏縁に恵まれたことを心より感謝いたします。
父とともに、残された時間、精一杯、光に向かって幸せな道を進ませていただきます。
一生、恨みながら生きていくところでした
東京都 毛利哲治
今回のご縁でも知らされたことがたくさんありました。
一つには、母からの恩を深く感じることができました。
私が10歳の時、父と離婚してから母は、女手一つで育ててくれました。
つらい日々が続き、耐えられないようなことが何度もあったそうです。
しかし私は、そんな母の気持ちを全く知ることもなく、母はまた、私につらい思いをさせまいと一生懸命明るくふるまってくれていたのです。
今でも果物を食べる時は、私に甘くおいしい部分だけを与えてくれ、母が会社でもらってきたお菓子も、すべて私に与えてくれます。
この「嚥苦吐甘の恩」に限らず、様々な親の恩を、思い出すことができました。
二つには、「人生の目的」の意味を、まだまだ深く受け止めていなかったと知らされました。
心から孝行ができず、父に感謝の心を持たない私、そんな心が知らされ、仏法を正しく聞く難しさを実感しました。
人間に生まれたことを、一生、恨みながら生きていくところでした。
しかし仏法を聞き、人生の意味を知らされ、心から両親に感謝できるようになった私はとても幸せです。
この仏縁に遇えたのは……
松本修二
父母の恩を感じられるかどうかは、今が幸せか不幸かによって決まる。人間に生まれてよかったと喜べる身になる道は、仏教にしか説かれていないとお聞きしました。
7月末で正式に公認会計士になりました。
父母はともに貧しい家に生まれ、父は中卒で就職しています。
私も、高校を出るのがやっとで就職せざるをえなくてもおかしくない中、中学・高校と、学費の高い私立の進学校に入れてもらい、大学に入ることができました。
大学に進めなければ、仏縁に巡り遇うことはなかっただろうと思うと、両親の恩を強く感ぜずにおれません。
(プライバシー保護のため、個人名は仮名にしてあります)