聖人の教えに"秘密"なかった
北海道 山内圭子さん(仮名)
儀式で信心をもらったのは28歳の時でした。「よかったね。これで極楽間違いなしだ。ただし、だれにも言ってはいけないよ」と言われ、「こんな簡単に極楽へ往けるのか」とホッとしたのを覚えています。娘も小学生の時に儀式に参加し、一味の世界へ出たと思っていました。
それから40年余り、苦労続きの人生でしたが、死ねば極楽へ往けるのだと、心の支えにしておりました。
転機が訪れたのは2年前です。主人の勧めで仏教小冊子を読むようになりました。そこに勉強会の案内があり、昨年5月、足を運んだのです。
驚きました。講師の先生が、黒板に縦の線と横の線をかき、「信心決定」の話をされるではありませんか。昔から母より「信心決定の話をする布教使から聞かねばダメだ」と言われていたからです。
これはすごい。私たちと同じように信心をもらった人が集まっているのか。しかし、秘密にしなくてよいのだろうか。疑問を抱きながらも、ビデオで高森先生のお話を聞いて感動し、「まことのお方」と思わずにおれませんでした。
ところがおかしなことに、私よりも真剣に求めておられる方々が、まだ信心を頂いていないと言うのです。ご法話の休み時間、「後生は一大事だから早く頂かないと間に合わないわよ。あなたも、あの講師にお願いして頂きなさい」と勧めておりました。
蓮如上人の断言に
親鸞会の講師の方は、気づいておられたのでしょう。しばらくして、「大事な話があります」と呼ばれたのです。
その時、講師は、『こんなことが知りたい』(高森先生著)を開き、土蔵秘事の特色を一つずつ話されました。
○絶対に秘密を守れと言う。
○夜中に信心を授ける。
○彼らの言う善知識から
「それでよい」と信心が認可される。
○儀式によって信心を貰う。
○信心を貰った年月日時に覚えがなければならぬ、
と、やかましく言う。
○頂いた後は、聞く気がなくなる。
「このような信心は、親鸞聖人とは異なる『異安心』なのですよ」と教えられ、徐々に血の気が引いていくのを感じました。自分に当てはまるものばかりだったからです。
「ああ……そうですか」と口にするのが精一杯でした。
さらに蓮如上人の「秘事法門といえることは、更に仏法にてはなし、あさましき外道の法なり。これを信ずる者は永く無間地獄に沈むべき業にて徒事なり」という『御文章』のお言葉を示され、自分の誤りを認めざるをえませんでした。40年間信じてきたのは、蓮如上人が〝外道の法〟〝地獄行き〟とおっしゃる秘事法門であったとは……。
「浄土真宗に秘密は一切ありません。真実の信心は、弥陀から直接賜る大信心です」と教えていただきました。
心は揺れました。秘事を捨てるか、高森先生のお話を聞くのをやめるか、2つに1つ。
しかし、「親鸞聖人のお言葉を通してお話しくださる方は、高森先生しかおられません。心の切り替えに時間がかかるかもしれませんが、どうか聞かせてください」と答えていました。娘にもすぐ話をし、そろって親鸞学徒とならせていただいたのです。
光に向かって歩み始めた今、心が晴れやかになり、まことの法悦をかみしめる毎日です。